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interview

Season1 Blu-ray&DVD第2巻インタビュー (キャラクターデザイン・総作画監督:浅野恭司)

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※2013年のインタビューになります

このページでは制作を担当した各スタッフへのインタビューを紹介します。第2回は、本作を絵
の部分で支えるキャラクターデザイン・総作画監督の浅野恭司さん。Production I.Gでさま
ざまな作品を手掛け、アニメーション技術を吸収してきた浅野さんに本作ならではのこだわりや
現場での仕事に関してお伺いしました。

Sentence
原作コミックの持つ味わいを意識したキャラクターデザイン

─ 本作はアニメ化以前から原作が有名な作品です。
浅野恭司(以下、浅野) 実は(アニメ化の話が)動き出すまでは、本屋で見かけて大きく取り上げられているのを知っている程度でした。仲間うちでも“おもしろいから、読んでみなよ”と話題になってはいましたが、読む機会がなくて。動き出す、と聞いてからはじめて目にしました。

─ 最初に読んだときの印象は?
浅野  「ああ、お母さん食べられちゃった」というのが正直な感想です。とにかく巨人が人を喰らう描写が衝撃的で。下品というか、ひどい食べ方をしている場面もありますよね……。

─ アニメ化すると聞いてどうでしたか?
浅野  職業柄どうやって動かそうか、と考えてしまうのですが、「動き」の観点では立体機動をどうアニメ化するかに興味を惹かれました。もちろん、そのときはまだ深く考えていなかったので、気楽な感じでしたが……。
もともと『スパイダーマン』の映画の印象があったのですが、実際、諫山(創)さんにお会いして、お伺いしたときもそのイメージだったので、大きくズレていないなと思いました。

─ 本作ではキャラクターデザインを担当されています。
浅野  メインの3人──エレン、ミカサ、アルミンをラフで描いてみて、という依頼で。キャラクターデザインは何人かの候補者とのコンペで決まったのですが、そのときは初期の漫画のタッチで描いていたんです。目を大きめにして輪郭は細長く。読者の印象としても、そのテイストだろうと思っていたので。でも、諫山さんにチェックしてもらったときは、比較的リアルな感じの、原作コミックでいえば第5巻以降のテイストで。
実は最初、諫山さんのタッチというか、原作コミックの描き味を吸収しようと思い、リヴァイやキース、エルヴィンなど、メインの3人以外のキャラクター、それこそ巨人も含めてだいぶ模写していたんです。作品の世界観を掴むという意味合いでも。
もともと原作コミックの持っている荒削りなガシガシした感じは、アニメでも表現したいと思っていました。もちろん線が多いと時間がかかってしまうので、普通省略したりするのですが、まずはそういった省略を考えず、とりあえず描けるだけ描こうと。
それを荒木(哲郎)監督に見てもらいながら、ちょうどいい落としどころを探していきました。線を太くしたり、原作のタッチを額や目の下に残したり。
あるとき、荒木さんが参考用に持ってきてくれたのが『あしたのジョー2』のフィルムコミックで。「なるほど」と思い、それからなんとなくデザインの方向性が決まった感じです。

─ 荒木監督から、キャラクターデザインに関して何か具体的な指示はあったのでしょうか?
浅野  おそらく原作の諫山さんと相談した内容を監督のフィルターを通して伝えてくれているんだと思いますが、明確な指示が多いです。たとえばエレンは目を大きく、とか。なかでも各キャラクターの瞳には、こだわりたいとおっしゃっていました。

─ 瞳というと?
浅野  細かく言えば瞳の虹彩(瞳孔の外側に走る放射状の縞)を印象深く入れたい、と。監督のこだわりなので注意して入れていますが、特に叫んでいるシーンなどは手が抜けないです。
キャラクターによっては表情が変わってしまうこともあるんですが、叫んでいるとはいえ、あまり壊し過ぎちゃいけない。エレンだけでなく、アルミンもわりと叫ぶシーンが多いので、映像を観ると“やりすぎたかな”と思うこともありますが、それでも抑え気味にするよう意識しています。

─ 本作は人類と巨人との戦いの物語ですが、一方で各キャラクターの成長の物語でもあります。作画の観点からキャラクターの成長を描くうえで注意していることはありますか?
浅野  体型や身長がまったく異なるという意味では、幼少時と訓練兵団時でキャラクター設定を使い分けているところが大きなところです。あとは、各兵団のエンブレムくらいで。
とはいえ、シリーズを通しての作画で描き慣れてくると初期と後期では各キャラクターのニュアンスの違いが出てくると思います。もちろん演出面から“大人びた表情で”といった具体的な指示があれば、それに沿った作画にはなりますが……。
訓練兵団のころは、作画の面からも幼さを表現したいと思っていたので、青年と少年の中間というか、意識的に幼さが残るようなデザインにしたのを覚えています。

─ 総作画監督も兼任されています。シリーズを通して、こだわりの部分はありますか?
浅野  絵のことをある程度任されているだけに、それは結構あります。あくまで自分のなかでのこだわりではあるのですが、たとえば瞳を小さくしないとか。
絵的な表現で驚いた表情を描く際、まぶたを大きく見開いて瞳を小さくすると、それだけで驚いた感じになるんです。でも、本作ではあえてそうしない。瞳を小さくしないで、瞳のなかの瞳孔を小さくする。
#01~#02では瞳を小さくしたところもあるのですが、描いていくうちに“そうじゃないよな”と思い直して、瞳孔を小さくする方向に変更していきました。

─ 総作画監督として、これまでを振り返ってみていかがでしょう?
浅野  本作では各話の作画監督のほかに、総作画監督として偶数話を門脇(聡)さんに、巨人関係の作画監督として千葉(宗明)さんに担当してもらっています。
僕のところにきた段階で、ある程度完成しているので、細かい絵の修正、絵柄を統一させることに専念している感じでしょうか。描いては消しを繰り返しながら、時間内に見られるところまでは、ですが……。

─ 荒木監督から作画の面で何か指示はありまし
たか?
浅野  監督自身、絵のことが分かっているので、ちょっとした修正だったら直接ご自身でされています。
#03で、ジャンがエレンとミカサのやりとりに茫然とするシーンでの縦線なんかは、荒木さん自身が入れたものだったりします。
PC上で結構大胆に縦線を入れていたのですが、原作コミックと比較してもいい感じになっていたので「これいいですね」と話しながら(笑)。

Sentence
作品の枠を超えて継承されるオジサンキャラへの愛着

─ 実際の映像をご覧になって、キャラクターデザイン時と印象の変わったキャラクターはいますか?
浅野  コニーですね。原作コミックではツッコミを入れられるバカキャラとしての側面が強かった気がしますが、#07では訓練兵のみんなを励ましている場面があって「おお頑張ってる。ただのバカキャラじゃないな」と思いました(笑)。
そういう意味ではジャンも、原作コミックを読んだときの印象と映像とでだいぶ印象が変わりました。
キャラクターデザインの段階では上から目線というか、人を小馬鹿にした表情を拾って、あまり深く考えずにデザインしていたのですが、改めて映像を見返すと重要なキャラクターだったんだなと思います。

─ 描いていて楽しいキャラクターはいますか?
浅野  キースやピクシスといったオジサンキャラは描きやすいですね。もともとProduction I.G で『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』シリーズをはじめ、かわいい女の子キャラよりもオジサンキャラを描く機会が圧倒的に多くありました。
それこそ、歴代の有名なアニメーターの方々が描いてきたオジサンキャラを見て、模写していくなかでその描き方を吸収してきたんです。オジサンキャラを描くときはここを押さえておけばオジサンぽくなる、といったオジサンキャラの描き方、ある意味、教科書といってもいいものがあるんです。
なので、オジサンキャラは抵抗なく描ける。女の子やカッコイイ男の子は“かわいくしなきゃ”とか“カッコよく描こう”と、どこか意識して身構えてしまうところがあるのですが、オジサンキャラはごく自然に、気楽に描いていますね(笑)。

─ 逆に難しいキャラクターは?
浅野  そのときそのときで違うのですが、いまはエレンですね。
ちょうど調査兵団に入ったくらいのところを描いているのですが、訓練兵団のときに比べると内面的に成長したというか、それまでに比べて感情を表に出すことが減ってきたせいか、エレンは以前に比べて描きにくくなってきています。ちょっと前まではミカサだったんですが……。

─ ミカサはどういったところが難しかったのでしょうか?
浅野  ミカサはヒロインなので、業界の常識的にいえばキレイ目系というか、艶っぽいというか、そういう方向で描いたほうがいいかなと思っていたんです。
でも、正直、美人さんなのか、かわいい子なのか、そうじゃないのか、男っぽいのか、いまひとつ自分のなかでは定まってなくて。諫山さんからのリクエストを受けて何度か修正していくなかでだんだん掴めてきた感じではあるのですが……。
諫山さんとしては、ミカサはあくまで暗殺者だと。伏し目がちで、目にハイライトも入らないくらいの印象で。もちろん口紅とかもなく、感情を押し殺したような、そういうイメージだとおっしゃっていました。
ただ自分自身が描いているものと、視聴者が求めているものとは違うので、アニメで観るミカサに視聴者は喜んでくれているので、そういう方向でいいと思います、とおっしゃってくれていて。

─ また、本作にはさまざまなキャラクターが登場します。
浅野  マルコとベルトルトは「あれどっちが、どっちだったっけ」と思っていた時期がありました(笑)。
メインの3キャラやアニ、ライナーは体型や身長が異なるので、そういう意味では見分けがつきやすいのですが、脇役というか、名前はついているけれど、それほど目立った特徴がないキャラクターは描き分ける際に混乱した記憶があります。
諫山さんに相談したり、制作を進めていくなかで、問題はなくはなりましたが……。

─ 最後に第3巻以降の見どころを教えてください。
浅野  制作者側としても、一視聴者としても本作を観ているわけですが、原作コミックに比べると時間軸を調整したり、各キャラクターの特徴がより分かりやすく描かれていると思うんですね。
「アニメって、分かりやすく作っているんだ」というのが個人的な感想です。
なので、原作コミックを読まずにアニメから本作に入った方にはそのままアニメを観続けてほしいですし、まだアニメを観てないという方には、ぜひ一度アニメをご覧になっていただいて、原作コミックでは描かれていない部分や意図的にカットしているところをアニメで補完してほしいですね。